越境ECサイトの構造設計:製品ラインを受け取ったら最初に決める 3 つ
· 2026年10月6日 更新
「商品ページが何に答えるか」は、書き始める前に決めます。海外のバイヤーは工場に来られません。対面で聞いたはずの質問に、どの商品でも同じ位置で答えている必要があります。飛ばせば、最初の本気の問い合わせでカタログを作り直すことになります。
東南アジア数か国で販売する電動自転車のラインを持って、クライアントが来ました。ページの要件は一つもありません。ワイヤーフレームも、参考サイトも、掲載項目の一覧もない。自由に聞こえますが、実際にはほとんど負担です。構造上の判断がすべてこちら持ちになり、間違っていたときに間違えたのもこちらだからです。
文章を一行も書く前に、三つのことを決めました。それ以降に手がけた越境ECサイトでも、決めているのは同じ三つです。
一、製品ラインをどう並べるか
バイヤーが来る時点で分かっていることは三通りしかありません。型番を知っている、用途を知っている、何も知らない。カタログはその三通り全部に応える必要があり、どの軸で並べるかが、そのうちどれをうまく扱えるかを決めます。
| 来訪時に分かっていること | 必要なもの | カタログ側の要件 |
|---|---|---|
| 型番・品番 | その商品に最短で着地すること | サイト内検索と、URL に型番を含めること |
| 用途(通勤・配送・積載) | 比較できる候補の絞り込み | 社内シリーズ名ではなく用途で分類 |
| 何も知らない(市場調査中) | 一画面でライン全体を把握すること | 全機種を一度に見せる一覧ページ |
社内のシリーズ番号で並べるのが最もよくある失敗です。会社自身が自社製品をそう捉えているからです。バイヤーにその地図はありません。あるのは課題であり、分類はその課題の言葉で名付ける必要があります。
二、商品ページが何に答えるか
間違えたときの代償が最も大きいのがこれです。後から変えるなら全商品を編集し直すことになります。項目を一度決めてしまえば、どの商品ページも同じ枠が同じ順番で並びます。利点は、答えの欠けが「静かに存在しない」のではなく、目に見えることです。
- それが何なのか。専門外の人が一読で分かる一行で。
- 仕様は表で。文章にしないこと。三機種を比べるバイヤーが読むのは三つの表で、文章では比較になりません。
- 箱に何が入っていて、何が入っていないか。
- 価格。公開しないなら、問い合わせた後に何が起きるかを明確に書くこと。
- 手元に届くまでの日数と、通関を誰が行うか。
- 壊れたときにどうなるか。保証期間と、連絡先。
抜け落ちやすいのは最後の二つで、本気のバイヤーが最も必要とするのもそこです。別の国から仕入先を選ぶ人が選んでいるのは製品ではなくリスクです。そしてリスクは、納品とアフターサービスに宿ります。
三、購入導線をどこから始めるか
このサイトでの答えは WooCommerce の購入導線一式でした。これらの車体には定価があり、個人にも販売店にも売るからです。これはどこでも正解というわけではありません。価格が交渉で決まるなら、カートは負債になります。約束するつもりのなかった数字をページに置いてしまうからです。
| 扱っているもの | 導線 | ページに必要なもの |
|---|---|---|
| 定価のある完成品 | カートと購入手続き | 在庫、送料、着荷までの日数 |
| 交渉制・数量次第 | 問い合わせフォーム | 見積に本当に必要な項目:数量、仕様、仕向港 |
| 構成指定・受注生産 | 先に構成ツール、その後に問い合わせ | 価格が変わる選択肢だけ。それ以外は置かない |
混ぜたときが失敗例です。同じページに「カートに入れる」と「見積を依頼」が両方あると、バイヤーはまず自分がどちらの客なのかを判断させられます。そして判断を誤るか、どちらも押しません。
なぜ内容ではなく構造が先なのか
構造が存在しないうちに書いた内容は、行き場がないので段落になります。段落は比較できず、絞り込めず、こちらの代わりに質問へ答えようとしている機械にも読めません。構造が先にあれば、書く作業は枠を埋める作業になります。そして空いた枠は、まだ答えていない質問そのものです。バイヤーより先に自分が気づきたいのは、まさにそれです。
このサイトは標準の WordPress と WooCommerce で動いています。意図的な選択です。クライアントはどのホスティングにも移せますし、誰にでも引き継げます。特定の一社に縛りつける構造上の判断は、構造上の判断ではなく人質関係です。
このガイドの中身
- B2B の問い合わせフォーム:その場で見積を出すために必要な項目どの項目が即時見積の可否を決め、どの項目がフォームを長くするだけなのか。
- 一般客と契約ディーラーを 1 つのカタログで扱う:アカウント別の価格表示2 つ目のサイトを作らずに両方へ対応する方法と、価格階層を契約の話に変えるルール。
- 越境ECサイトの言語数と URL 設計:言語を 1 つ増やすと変わる 5 か所言語版どうしが同じ検索結果で競合しない URL 構造と、言語を追加するときに実際に手を入れる 5 か所。
- 商品コンフィギュレーターは投資に見合うか:判断するための計算受注件数・オプション数・再見積率から投資対効果を出す方法と、最後まで設定される場合と途中離脱する場合を分ける 3 つのルール。
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越境・卸売サイト制作:型番と数量が添えられた引き合いをメーカー・商社のための越境・卸売サイト制作。「ベストプライスを送ってください」の一行から、数字にたどり着くまでメールを三往復。そうならないために、仕様で引けるカタログと、届いた時点で見積もれる問い合わせ導線を、標準の WordPress 上に。進め方について →